蜜柑
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シンジャ10
うぅ・・・なんかシンがかっこよくならん。ジャーファルいるとダメなんだな~。
気が緩むようです。
お話はこちらから↓↓
珍しくジャーファルが熱を出した。
ジャーファルが風邪をひく事はめったになく、前に熱を出したのは数年前の事だ。
確か国を起こしてすぐだったとシンドバッドは記憶している。
シンドバッドは仕事を早々に終わらせ、ジャーファルの部屋へと向かった。仕事を終わらせてから行ったのは、終わっていないとジャーファルが怒るからだ。
コンコン
ドアを二回ノックすると、中から『どうぞ』とジャーファルの声がする。
中に入るとジャーファルは寝ていたのか、身体を起こそうとしていた。
「あまり無理をするな。寝ていなさい」
「でも…」
そう言うジャーファルだがやはり身体は辛いようで、シンドバッドの言う通りにした。ゆっくりと身体を横にするジャーファルの身体をシンドバッドが支えてやる。
「どうせ明日から仕事をするつもりなんだろう?それなら今日1日くらい寝てろ。お前は少し働き過ぎだ」
「誰が仕事増やしてると思ってるんですか?」
「……それを言うなよ」
ジャーファルの言う通り、シンドバッドが仕事を増やしているのは確かだ。この国をより良くする為に必要な事ではあるけれど、ジャーファルはその中心で働いている。
休みも取らずに動き回っているのだ。
それは、シンドバッドの理想とするものの為。
シンドバッドの理想は高く、達成するのは困難で、時間も金もかかる為、それをやりくりするのは大変だった。
「それよりもシン、仕事は?」
「終わった。今日はお前の我が儘を聞きにきたんだよ。いつも俺の我が儘を聞いてもらっているからな」
「何ですか、それ…」
シンドバッドはジャーファルの腹辺りに顔を起いた。ジャーファルの方を向き、彼の我が儘を待っている。
「では明日の仕ご…」
「仕事関係は無し!」
シンドバッドはジャーファルの口を覆い、『わかった?』と聞いて、頷いたのを確認してから手を離す。
ジャーファルが一番やってもらいたいのは仕事だ。
それ以外となると大したことが思いつかなかった。
それほどジャーファルの頭の中は仕事でいっぱいなのだ。
暫く思いつかず考えていると、ジャーファルを見るシンドバッドの目は少しとろんとしていて眠そうだった。
いつもダラダラと休憩を取りながら、自分のペースでやるのを、急いでこなしたんだと思う。
まだ夕方で、少し仮眠を取ればいいのに、わざわざ様子を見に足を運んでくれた事は、とても嬉しかった。
「シン、触れても?」
「いいよ」
ジャーファルはまずシンドバッドの髪に触れた。
何度か撫で、それから長い髪を指に絡ませる。
少し固い髪質。
触り心地を言えば、良いとは言えないけれど、とても綺麗だとジャーファルは思う。
彼の髪にはたまに触れる。
いつでも触れていいのに、とシンドバッドは言うが王の髪に気軽に触れていい筈がない。
だからこうやって我が儘を許された時にだけ、触れさせてもらうのだ。
シンドバッドはジャーファルに髪を撫でられ、目を閉じて笑っている。
「飽きないな、お前も。いつもこれだ」
「仕事かこれ以外思いつかないんです。嫌ですか?」
「いや、気持ち良くて眠くなる…」
もうシンドバッドは目を開けなかった。
言葉も最後の方はもう小さくて聞こえない。
(もう少しこうしてれば寝てしまうかな…?)
もし眠いのならここで寝てしまっても構わない。熱はもう大分引いて身体も楽になった。
本当は自室のベッドで寝てもらう事がいいのだが、ここまでくるとシンドバッドはもう動かない。
そして、いつもはよく喋るシンドバッドが無言になって数分。
もう寝たかな?とジャーファルが身体を少しだけ動かすと、シンドバッドの目がゆっくりと開いた。一瞬開いた目は虚ろでまたすぐに閉じてしまう。
「……ジャーファル」
とても眠そうな声でジャーファルを呼んだ。
「はい?」
「俺も我が儘言ってもいいか?」
「いいですよ」
ジャーファルがそう答えてから少し間をおいて、シンドバッドは言う。
「このまま寝かせて…」
シンドバッドはずっと睡いのを我慢していたのだろうか。
寝たければ寝てくれて良かったのに。
そう思いジャーファルは笑う。
「どうぞ、お好きなだけ」
ジャーファルはシンドバッドがさっきから下敷きにしている上着をそっと抜き、寝ようとしている彼にかけた。
いくらシンドリアが暖かいといっても、夜は少し冷える。
「では、我が王。良い夜を…」
シンドバッドが寝た後もジャーファルは髪を撫で続けていた。
でも、次第に意識は遠のきジャーファルもまた眠ってしまった。
そして朝起きるとシンドバッドはまだ部屋にいて、ジャーファルの手を握り、
「おはよう」
と笑顔を向けるのだった。

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