蜜柑
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食満さんと作兵衛2
という訳でまた書いてみました。
はぁ、三年生可愛いっ!!
そんな訳でお話はこちらから↓↓
用具委員会には予算があまりない。
それはどの委員会も同じだ。
それだから壊れても新しい用具を買う事は出来ず、毎日毎日用具の補修作業ばかりだった。
それ以外には古くなった屋根の補修、体育委員会長の小平太が壊した戸や壁の補修。
小平太が壊すのは戸や壁だけではなく、体育委員会で使う道具はかなりの確率で壊れ、その補修の殆どは用具委員会に回ってくる。
そして、もう一人厄介なのは作法委員会の綾部喜八郎だ。
彼は毎日のように塹壕を掘り、それの被害者はかなりいる。
だから、その塹壕を発見する度に用具委員会は埋めるのだ。
それの中心で動くのが委員長の留三郎だった。
用具委員会は下級生ばかりで、留三郎はその面倒を見ながら作業をしていた。
感情を表に出す事が多くて、下級生はその熱さについていけず逃げ出す事もあった。
だが、作兵衛は留三郎の熱さに憧れている。そう思うのは作兵衛の根本的な性質が留三郎に似ているのだろう。
それに器用な所も尊敬していた。
武闘派と言われて武器を扱う事がとても得意な留三郎だが、得意なのは武器だけではない。
武器以外の道具を使う事も得意としている。
とにかく器用なのだ。
器用だからこそ何でも扱える。そこが留三郎の凄いところだ。
六年生まできつい訓練に耐えてきたのだ。実力もある。それは当たり前といえば当たり前なのだが、何より、この人の努力を作兵衛は知っていた。
誰も見ていない所で努力しているのだ。
でも、作兵衛が一番尊敬しているところは彼の優しさだった。
留三郎は用具委員会では下級生にも厳しい。
その厳しさには下級生に補修作業を覚えさせる為というのもあるが、予算が出ない事と仕事が多い事も留三郎の言動を厳しくさせていた。
予算を出さないのが文次郎だというのも理由の一つだ。
それは用具委員全員が知っているから、今では彼の気が立っていても差ほど気にも止めなかったけれど、下級生達は留三郎のその言動にはいつもびくびくしている。
嫌いというのではないのだ。
下級生達も留三郎の事は好きなのだ。
でも、下級生達は留三郎の本当の優しさを知らない。
けれど、ある時作兵衛はそれを知った。
いつも委員会が終わった後、留三郎が一人で残っている事に作兵衛は気が付いた。
留三郎は下級生達を帰した後、いつも一人で残っている。
だから、気まぐれに聞いてみたのだ。
「食満先輩、帰らないのですか?」
「あー、ちょっとな。これの手入れが終わったら俺も帰るから、作兵衛も先に帰っていいぞ」
留三郎が手入れをすると言って持っていたのは、用具委員で使う補修道具だった。
それも、下級生達が使っている道具だった。勿論、作兵衛もその道具を使っている。
「それ、私たちが使う補修道具ですよね?」
「そうだ。これでお前達が怪我でもしたら大変だからな」
留三郎はいつも皆が使った道具を一人で手入れしていたのだ。
下級生達はそれを知らない。
そして、作兵衛もそれを知ったのは最近の事だった。
よく考えてみれば使う補修道具が使いにくいという事を感じる事は一度もなかった。
あれだけ毎日補修作業をしていれば、道具の何処かが壊れてもいいようなものなのに。
これを知るまでは作兵衛もそんな事を気にした事もなかった。
使いやすい道具を何故こんなに使いやすいかを考えずに使っていた。
目の前にある仕事にいっぱいで、それを少しでも減らしていく事に一生懸命だった。
でも、今は違う。
「先輩、手伝います」
作兵衛は留三郎の横に座った。
これからは委員会のある日は留三郎と一緒に手入れをやろうと思う。
自分もいつかこんな風になりたいと作兵衛は思うのだ。
「いいのか?」
「これも勉強ですから」
作兵衛の言葉に留三郎は嬉しくなり、思わず口元が綻ぶ。
「よーしっ!じゃあ俺の手元をちゃんと見てろよ」
「はいっ!」
この日を境に、作兵衛は留三郎と共に委員会の後は出来る限り道具の手入れをするよう心がけた。
それは留三郎のいない日でもだ。
『よく出来てるじゃないか』
そう褒められて、頭を撫でてもらえる事が嬉しくて。
だから、作兵衛は今日も頑張るのだった。

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