蜜柑 けまい27 忍者ブログ

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けまい27

昨日から書いていた話をアップします。
今まで原稿で忙しかったからなかなかアップできなかったけど、今回は忍フェスも不参加だし、原稿もないからちょっと書いてたらね。
今日のあれだよ。
もうずっとテンションおかしい。
多分、忍フェス参加だったら無配で今日の6はベースの話をと思うけど、不参加なので。
でも書きたいからサイト用にアップするぞー!って意気込んでます。
こういうの勢い大事っ!


サイトのだから短い話だし、きっとすぐアップできると信じたい・・・



それではお話はこちらから↓↓



保健委員会、通称『不運委員会』。
伊作はそれを認めてはいなかったけれど、委員会で集まると誰かしらが不運に見舞われ、周りがそれに巻き込まれてしまう。
この日、本当は保健委員会は夕食後に集まり、長くても二刻で終わる予定だったのだけれど、不運に不運が重なって、伊作の仕事が終わったのは既に深夜をまわっていた。
少し凝り固まった肩を自分で揉みほぐしながら自室に向かうと、既に部屋の灯りは消えていた。
 
 
(もう寝ちゃったか…)
 
 
昼間、借りた本の返却期限が明日だと留三郎は言っていたから、もしかしたら起きているかもしれないと伊作は思っていたのだ。
そうすれば寝顔を見るだけではなく、挨拶を交わせたのにと期待をしていた。
少しでも時間があれば顔を見て言葉を交わしたい。好きな相手なら尚更だ。
声をかければ起きるだろうけれど、わざわざ起こすのも悪いと思うから、声を交わすのは朝まで待つ事にする。
伊作は静かに戸を開けて部屋に入るのだが、中には誰もいなかった。
月明かりで見えた留三郎の文机には本が一冊置かれている。
手に取って見ると栞は挟まっていないから、既に読み終えたものだとわかった。
 
 
(それにしても何処に行ったんだ?)
 
 
読みかけだった本を読んでいた形跡はあるのだから、部屋に戻っていた事は間違いないのだ。
でも、そんな事を考えても留三郎が部屋に戻ってくる事はない。
伊作はすぐに寝間着に着替えて、風呂桶と手ぬぐいを持って部屋を出た。
もう皆は殆ど寝てしまったが、風呂はまだ使える時間で空いている筈だ。
とはいえ、もう湯を温める事はしないから湯はどんどん冷めていく一方なのだ。
少しでも暖かい湯に浸かろうと伊作は歩を早め、脱衣場の戸を開けると既に先客がいる。
風呂場の方から湯を掛け流す音がするのだ。
伊作は髪を手ぬぐいでまとめ上げ、もう一枚の手ぬぐいを腰に巻いて中に入ると、そこには見慣れた背中があった。
「あれ、留三郎じゃないか」
髪を洗い流していた彼は湯の滴る髪をかき上げて振り向いた。
「伊作か。やっと委員会終わったのか?」
「うん。留三郎こそこんな時間に風呂なんてどうしたんだ?」
「返却期限の迫った本を読み終えたらこんな時間になってたんだよ」
「あーあの本ね」
留三郎の言っている本とは、さっき伊作が部屋で見つけた本の事で、昨晩まではまだ半分近く残っていた。
伊作ならばあと1日だけと返却期限を勝手に伸ばすし、文次郎ならば長次から注意を受けるまで返さないだろう。
前に伊作が『一日位いいんじゃないか?』と言った時は、長い説教をくらった。
留三郎はいろいろと細かい。
それは今も昔も変わらなかった。
 
 
(こういう所は変わらないのに…)
 
 
変わった所も幾つかあって…。
「留三郎、僕が背中流すよ」
「おう」
この背中は留三郎の変わった所の一つ。
出会った頃は小さく、頼りなかった背中は、いつの間にか大きくたくましいものになっていた。
 
 
(昔はこんな筋肉なかったのに)
 
 
昔を思い出しながら背中に触れていると、
「おい」
そう留三郎は振り向いて声をかけてくる。
「何?」
「背中流すんじゃなかったのか?」
気づけば背中を流す事を忘れて、背中に触れていたのだ。
「あ、ごめん。昔はこんなに筋肉なかったなと思ってさ」
「筋肉付いてなかったらかなりショックだぞ、俺は」
「確かにそうだ」
伊作は笑いながらまだ背中に触れているのだが、留三郎はそのまま触れさせたまま身体を洗って石鹸を湯で流した。
その間、伊作は筋肉の付き方を触りながら確認していたのだが、今度は留三郎が後ろに回った。
「今度は伊作の番な」
留三郎は伊作の纏めていた髪を解くと、頭から一気に湯を掛けて手際よく洗っていく。
「伊作の髪、洗うの久しぶりだなー」
「そもそも一緒に風呂に入るのが久しぶりじゃないか?」
普段は委員会や自主トレで時間が合わないのだ。
こんな所で二人の時間が過ごせるなんて、この日は本当に運がいい。
髪も洗ってもらって、背中も流してもらえた。
洗い終えた髪をまとめ上げてくれるのは留三郎で、触れて貰える事が嬉しかった。
そして、二人揃って湯船に入っていると、留三郎の唇が伊作の首筋を吸った。
「と、留っ!?」
「悪い。久しぶりにお前の身体に触れたら…」
「うん、僕も…」
振り向いて、留三郎に抱きつこうと体勢を変えようとした時、
 
 
ドボンッ
 
 
伊作は湯船に沈んだ。
「伊作っ!」
沈んだ伊作を慌てて引き上げると、まとめ上げた髪が解けて、全てが顔に掛かり酷い事になっていた。
「うぅ、すまない…」
「いや、別にそれはいいんだが、大丈夫か?」
「滑っただけだから…」
「そ、そうか」
だが、伊作が沈んだ事でさっきまであった雰囲気は消えていて、留三郎はまだ顔にへばり付いたままの髪をかき分けて額に唇を落とした。
「留三郎…」
「また今度だな…」
「うん…」
怪我をしたりしてはいないけれど、何となくそんな気分にはなれなくて。
お互いに触れ合う事は本当に久しぶりだったのに、何故こうなってしまうのだろうと、伊作は悔やんでいた。
 
 
(今日はツイてると思ったのに…)
 
 
やはり保健委員会だからなのか。
「ツイてないなぁ~」
湯船から上がる留三郎の背中を視界にいれつつ、伊作はそう小さく呟いた。


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