蜜柑 食満と作兵衛 忍者ブログ

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食満と作兵衛

この前、作兵衛の持っていた練習用手裏剣ですが、「ト」ってあったよね。
「ト」だよねアレ。
トマツの「ト」だよねっ!?


あれが実はトメサブロウの「ト」だったら~って妄想した結果こんなんできました。


だからあげられないけど貸してあげる~になったんだと。
食満さんに貰ったものなので、とても大事にしてたら可愛いなという妄想です。


ほんと、可愛いね~


それではお話はこちらから↓↓




作兵衛は的に向かい手裏剣を構えた。
全神経を一点に集中させ、渾身の力を込めて手裏剣を投げるのだが、何故かその起動は狙った真ん中からそれていく。
カツンと音を立て的に当たったのだが、それは突き刺さる事なく落ちて土に刺さった。
それも、狙った真ん中ではなく当たったのは的の隅。
それを見た作兵衛はため息をつき、大きく肩を落とした。
どうしても上手くいかない事が悔しくて、こうやって練習をしているのに、何度やっても狙った場所から手裏剣はそれていく。
「何でだ…?」
自分の悪い所がわかっていたら苦労はない。それがわからないから苦労しているのだ。
作兵衛は土に刺さった手裏剣を拾い、刃についた土を払って的に向かい構えた。
さっきと同じように全神経を的に集中させていると、ガサガサと背後から音がする。
集中を見出されて眉間にシワを寄せて後ろを睨みつけると、
「おーい、作兵衛」
と姿を現したのは留三郎だった。
「食満先輩っ!」
思わず向けてしまった不機嫌な顔は留三郎の姿を見て、すぐにいつもの表情に戻した。
先輩に対して失礼な態度をとってしまったと慌てる作兵衛だったが、留三郎はそれを全く気にする事なく話を始めた。
「今日の委員会なんだが、半刻遅らせる事になってな。集合場所は変わらず用具倉庫だ」
「はい」
「それからな、そんなガチガチに力入ってたらいくら投げたって的には当たんねーぞ。それと手裏剣貸してみろ」
留三郎は作兵衛から手裏剣を受け取り、それをじっと見つめた。
指で刃の切れ味を確かめ、目の高さまで持って行き何度も傾けて見る。
「あの……食満先輩?」
「こりゃ駄目だな。刃こぼれしてるし、バランスも悪い。ちゃんと手入れしてねえだろ?」
「……はい」
留三郎にそう言われて、作兵衛は肩を落とし下を向いた。
留三郎が本当に道具を大切に扱う事を知っているから、練習用だからと雑に扱った事で怒られると思ったのだ。
だが、留三郎はポンと作兵衛の頭に手を置いて笑っていた。
「ついて来い、作兵衛」
「はいっ!」
作兵衛は早足でその場から立ち去る留三郎の後を慌ててついて行った。




留三郎の後について行くと、辿りついたのは六年長屋だった。
自分よりも下の学年の長屋ならば何にも感じないが、やはり上級生の長屋は少し緊張する。
そして、留三郎が入ったのは自室で、戸を開けると薬の臭いが漏れだしてきた。
この部屋で何かをするのかと思った作兵衛だが、部屋の外で待たされたのだ。
でも戸は閉められなかったから中を覗くと、綺麗に片付けられた部屋の中にあった箱を一つ持って留三郎は廊下に出て座る。
作兵衛もその横に座り、開けられた箱の中を見ると、手裏剣やクナイ、そして、それを手入れする道具が入っていた。
「作兵衛、とりあえずこの手裏剣であれ狙ってみろ」
あれと言って留三郎が指差したのは少し皮の剥げた木だった。
作兵衛が戸惑っていると、留三郎は箱の中から「ト」と彫ってある手裏剣を取り、その的を狙って投げた。
すると、留三郎の投げた手裏剣は吸い寄せられるように的に深く突き刺さる。
「お前みたいに力まなくても当たるんだよ。身体に余計な力を入れるな」
「はい」
留三郎に見られているから少し緊張するけれど、一人でいるよりぴりっと引き締まった。
作兵衛は言われた通り、深呼吸してから身体の力を適度に抜いた。
投げ方は気にせず、狙った的に集中して投げると、トンと音を立てて木に突き刺さった。
刺さったのは留三郎の投げた手裏剣から外れているものの、深く突き刺さっていたのだ。
「食満先輩、ちゃんと当たりましたっ!」
「おー、よかったな。あとは練習あるのみだ」
留三郎は作兵衛の頭を撫で笑う。
「この手裏剣投げやすかったんですよ。何でだろうな…?」
「そりゃいつも手入れしてるからな。練習用だろうとちゃんと手入れしてやらないと、道具に裏切られちまう。手入れするってのは大事な事なんだ」
作兵衛は留三郎の言葉を真剣に聞いていた。練習用だからと手入れをしてなかった事が恥ずかしくなったのだ。
留三郎の手裏剣は一点の曇りもない。日頃から手入れを怠らず、道具を大事にしている事がわかる。それに投げやすかった。
作兵衛は自分の投げた手裏剣を取り、キラキラした目でそれを色んな角度から眺めていた。
「気に入ったならやるよ。俺のお古でいいならな」
「いいんですかっ!?」
「ああ。で、さっきまで作兵衛が使ってた手裏剣は手入れの練習に使う。ちゃんと教えてやるから、これからはお前が後輩達に教えてやれ」
「はいっ!」
作兵衛は貰った手裏剣を大事にしまい、留三郎の横に座る。
そして、その器用な手つきに見とれつつ、委員会の時間までみっちり留三郎の指導を受ける作兵衛だった。

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