蜜柑 現パロ3(大人) 忍者ブログ

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現パロ3(大人)

携帯から話を更新するのは初めてなので、見にくかったらすいません。
節電の為、今はパソコンを全く使ってないもので…。


本当は室町の話が一つあったんだけど、暗ーい話だったので現パロの方を書いてみた。
こっちは食満中心で話が進むので、食満好きの私は書いてて楽しいです。


とりあえず現パロのこの世界観をもっと広げられたらいいな。



それでは話はこちらから↓↓




つい一ヶ月前にオープンしたカフェは次第に客数を増やしていった。
特に宣伝をした訳ではないのだが、口コミでどんどんその評判が広まったのだ。


コーヒーが美味い。


ケーキが美味い。


雰囲気がいい。


そんな口コミで客が増えて、留三郎は毎日忙しくしていた。
でも、だからといって質を落とす事は絶対にしない。
どんなに人が来ようと、彼は自分のこだわりを崩す事はしなかった。
だからこそ美味しい物が提供出来る。
この店に来る客は彼のこだわりの味を求めてくるからか、不満を言う客はいなかった。それどころか並んででもそれを求めるのだ。
留三郎はそれが凄く嬉しかった。
自分が考え、編み出したものが認められる事は何よりも嬉しいもので、今まで以上に頑張らねばという気にさせられる。
この仕事は留三郎自身がやりたいと始めた仕事だ。忙しくなろうと楽しくて仕方がない。
だが、客が増えた事で困る事もある。
一つ目は材料が足りなくなった時で、買いだしに行きたくても一人では店を空ける事が出来ない事。十分な仕入をしていても、どうしても足りなくなる時があるのだ。
二つ目は小さな店とはいえ、客からの注文を取り、作り、運ぶ事が難しくなった事。
店を始めた頃はこんなに客が入る事を予想していなかった。一人で全て出来ると思っていたのだ。
「まさかこんなになるとは予想外だったなー」
開店前の店で留三郎はカウンターに座り、こんな独り言を呟きながら天井を見上げた。
そして、少し考えた後に留三郎はカウンターから店の奥に下がる。
探して用意したのは紙と黒マジック。
カウンターに座ってまた天井を見上げ、留三郎はマジックを開けずに蓋部分をテーブルにコツコツと当てていた。その音がピタッと止まると、マジックの蓋を開けて紙の上の方に『急募』と目立つように書いた。
その後には、『アルバイト募集』と続けられる。
正社員として雇うか、アルバイトとして雇うかを暫く悩んだ結果、アルバイトを雇う事に決めた。暫く店で雇い、よければ正社員として採用しても良いと思っている。
けれど、人手が足りないから面接している暇はない。
やる気があって気が合えばそれでいい。
留三郎がその募集チラシを書き上げたのは開店30分前。
すぐにチラシをドアに張り付けると、背後に気配を感じた。
でも、開店前に人が並ぶ事はいつもの事で気にしないでいると、
「すいません…」
そう声をかけられた。
「ん?」
留三郎が振り向くと、自分の目線よりも随分下に赤茶色の髪が見えた。
見覚えのある顔だった。
毎日店に来る常連客だ。
「アルバイト募集してるんですか?」
「そうなんですよ、少し忙しくなったんで」
留三郎はいつもの営業スマイルでそう答えた。
「あの、面接はいつですか?俺、ここで働きたいんです!」
「君、名前と年齢は?」
「富松作兵衛、24歳です」
「開店から閉店まで働けるか?」
「今日からでも働けますっ!」
作兵衛は真っ直ぐな視線を留三郎に向けた。
「じゃあ最後に、やる気は?」
こんな事を聞かずとも、作兵衛の目を見ればわかる。
「ありますっ!」
作兵衛が力強く答える答えると、留三郎はニカッと笑って彼の頭をガシガシと少し荒っぽく撫でた。
いきなりの事に驚きながらも大人しくしている作兵衛に留三郎は、
「じゃあ、採用」
と告げる。
「へ?」
作兵衛が顔を上げると、留三郎は貼ったばかりのアルバイト募集のチラシをドアから剥がしていた。
「何、呆けてるんだ。これから開店だぞ。服は少し大きいかもしれねぇけどとりあえず今日は俺の着てくれ」
「はい」
「じゃあこれから急いで準備だ、作兵衛」
「はい、よろしくお願いします!」
開店まではあと20分。
留三郎だけだったこの店に作兵衛が増えて、この日開店を迎えた。


作兵衛は留三郎からワイシャツとエプロンを渡された。
ワイシャツもエプロンも大きくて少し不格好だったけれど、今はそんな事を気にしている暇などなかった。
開店するとあっという間に席が埋まり、引っ切りなしの注文。
目が回る程の忙しさだ。
でも、大好きな店でこれから仕事が出来るのだから、作兵衛はそれを嫌だとは感じず、やり甲斐を感じていた。
作兵衛の慣れないながらも注文を取り、留三郎が作ったものを運ぶ。
片付けもやるし、会計もやるのだ。
留三郎が作る事に専念出来るように、作兵衛は働いた。
この日、初めて働くというのに作兵衛は手際がよく、留三郎からは安堵の笑みが漏れた。
この日もかなり忙しかったのに、作兵衛は休みなく働いていたのだ。


そして、ようやく閉店の時間になり、作兵衛はドアのプレートをOPENからCLOSEに変えた。
「お疲れさん」
留三郎はカウンターの内側からそう声をかけた。
「あ、お疲れ様です!」
「大変だったか?」
そう聞くと、作兵衛は遠慮がちに、
「……少し」
と答えた。
「まぁ、最初だからな。とりあえずここ座れよ」
留三郎は笑いながらコップに冷たい水を注いだ。
それから卵を溶いてオムライスを作る。
ライスの上に卵を乗せ割れば、中からは半熟のタマゴがトロリと溢れ出す。
「腹減っただろ?」
「はいっ!」
作兵衛はずっと働いていて、たまに休憩はしていたものの、客がくれば休憩時間はすぐに終わってしまう。
留三郎は自分の分のコーヒーをいれた。
カウンターの内側の椅子に座り、作兵衛の食事が終わるのを待つ。
それを待って作兵衛が最後に水を飲んで一息つくと、
「作兵衛、また明日もよろしくな」
そう言って留三郎は彼の赤茶色の髪を優しく撫でた。

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