蜜柑
杉の運営する小説ブログサイトです。食伊とシンジャを愛する杉の妄想吐き出しの場。
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けまい8
ちょうど雨が降ってる時に思いついて書いたのです。忍たま合宿の帰りに。
食満さんはこっそり泣いてるといいです。
伊作にもそんな顔はあまり見せなくていい。
とりあえず何かあっても伊作にぎゅーってされてちょこっと元気になればいい。
これ、伊作さんの場合もそうだけど。
お話はこちらから↓
「ちょっと出てくる」
ずっと文机に向かっていた留三郎が、ふと顔を上げ立ち上がった。
何も持たずに出て行こうとする留三郎に、伊作は傘を手渡した。
「雨、降ってるから」
「悪いな」
伊作から受けとった傘を持ち、留三郎は静かに戸を閉めて出ていった。
こうやってたまに留三郎は雨の日に一人で外に出ていく事がある。
その時はいつも何も持たずに出ていくものだから、気付けば伊作が傘を手渡すのが当たり前の様になっていた。
ただ、傘を渡したからといって留三郎が傘を使うかと言ったらそうではない。
傘を手渡したって使わないのだ。
留三郎が雨の日に一人で外に出るのには理由がある。
その理由を伊作は知っていた。
本人から直接聞いた訳ではないが、部屋に戻ってきた留三郎を見ればすぐにわかる。
ずぶ濡れになって帰ってくる留三郎の目はいつも赤く腫れているのだ。
それを見てすぐに留三郎が泣いていたのだとわかった。
人前で泣く事のない男が雨に涙を隠し一人で泣いていた。
何を思って泣くのかなんて伊作には想像できる筈などなく、雨に濡れ、そこでただ静かに涙を流す留三郎にしてやれる事など何もなかった。
一度だけ外に出ていった留三郎の後を、気配を殺して追った事がある。
ただ、心配だった。
それだけで追いかけた。
でも、伊作は留三郎の姿を見た時、声をかける事が出来なかった。
声を殺し、強く拳を握り締め、身体を震わせる留三郎に、そんな簡単に声などかけられなかったのだ。
一人で泣く留三郎に何て声をかける?
ずっと一緒にいた。
誰よりも近くで彼を見ていた。
自分ならば何かしてやれるんじゃないかと、伊作は自惚れていたのだ。
結局、何も出来ずに伊作は部屋に戻った。
何も出来ない悔しさと、自分なら何かしてられるんじゃないかと自惚れに対する恥ずかしさ、そんなものが伊作の頭の中でぐるぐる回って泣きたくなった。
それからは留三郎が部屋を出た時、伊作が部屋から出る事はなかった。
だから、この日も留三郎を部屋で待つ。
すると、
トン トン トン
と、誰かが廊下を歩く音がする。
伊作は足音ですぐに留三郎だとわかった。
皆の足音は大体把握しているから、足音で誰が来たかわかるのだ。
もうすぐずぶ濡れになった留三郎が部屋に戻ってくる。
伊作は手ぬぐいを持ち、戸を開けた。
「おかえり、留三郎」
手ぬぐいを留三郎の頭に被せ、水の滴る髪を優しく拭いた。
「……ただいま」
トンと伊作の胸に軽く額を押し付け、留三郎は静かに目を閉じた。
ずっと文机に向かっていた留三郎が、ふと顔を上げ立ち上がった。
何も持たずに出て行こうとする留三郎に、伊作は傘を手渡した。
「雨、降ってるから」
「悪いな」
伊作から受けとった傘を持ち、留三郎は静かに戸を閉めて出ていった。
こうやってたまに留三郎は雨の日に一人で外に出ていく事がある。
その時はいつも何も持たずに出ていくものだから、気付けば伊作が傘を手渡すのが当たり前の様になっていた。
ただ、傘を渡したからといって留三郎が傘を使うかと言ったらそうではない。
傘を手渡したって使わないのだ。
留三郎が雨の日に一人で外に出るのには理由がある。
その理由を伊作は知っていた。
本人から直接聞いた訳ではないが、部屋に戻ってきた留三郎を見ればすぐにわかる。
ずぶ濡れになって帰ってくる留三郎の目はいつも赤く腫れているのだ。
それを見てすぐに留三郎が泣いていたのだとわかった。
人前で泣く事のない男が雨に涙を隠し一人で泣いていた。
何を思って泣くのかなんて伊作には想像できる筈などなく、雨に濡れ、そこでただ静かに涙を流す留三郎にしてやれる事など何もなかった。
一度だけ外に出ていった留三郎の後を、気配を殺して追った事がある。
ただ、心配だった。
それだけで追いかけた。
でも、伊作は留三郎の姿を見た時、声をかける事が出来なかった。
声を殺し、強く拳を握り締め、身体を震わせる留三郎に、そんな簡単に声などかけられなかったのだ。
一人で泣く留三郎に何て声をかける?
ずっと一緒にいた。
誰よりも近くで彼を見ていた。
自分ならば何かしてやれるんじゃないかと、伊作は自惚れていたのだ。
結局、何も出来ずに伊作は部屋に戻った。
何も出来ない悔しさと、自分なら何かしてられるんじゃないかと自惚れに対する恥ずかしさ、そんなものが伊作の頭の中でぐるぐる回って泣きたくなった。
それからは留三郎が部屋を出た時、伊作が部屋から出る事はなかった。
だから、この日も留三郎を部屋で待つ。
すると、
トン トン トン
と、誰かが廊下を歩く音がする。
伊作は足音ですぐに留三郎だとわかった。
皆の足音は大体把握しているから、足音で誰が来たかわかるのだ。
もうすぐずぶ濡れになった留三郎が部屋に戻ってくる。
伊作は手ぬぐいを持ち、戸を開けた。
「おかえり、留三郎」
手ぬぐいを留三郎の頭に被せ、水の滴る髪を優しく拭いた。
「……ただいま」
トンと伊作の胸に軽く額を押し付け、留三郎は静かに目を閉じた。
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