蜜柑
杉の運営する小説ブログサイトです。食伊とシンジャを愛する杉の妄想吐き出しの場。
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けまい16+もんじ+長次
注意
一年生の留、もんじ、ちょうじが出てきます。
伊作は六年生のみです。
けまい?
以上が大丈夫な方はどうぞ~
ではお話はこちらから↓↓
まだまだ、夏の暑さが残るある日、図書室は読書をしにくる忍たまで溢れていた。戸を開けておくとよく風が流れ、夏でも涼しいのがこの図書室である。
本の状態を維持する為、最適の環境を保たれている図書室には、特に夏になると多くの忍たま達が涼みに来るのだ。
だが、そんな快適な図書室だが禁止されている事がいくつもあり、その中で一番厳しく言われているのが私語である。
私語厳禁の図書室から聞こえてくる音といえば、本を探して室内を歩く音、探した本をめくる音が殆どだ。
話し声もあるが主に本の返却、貸出の為に忍たまが図書委員に声をかける位だった。
基本的に図書室での私語は厳禁である。
だが、そんな静かな図書室の隅から嗚咽とズズッと鼻を啜る音が聞こえた。
「………ッ…ぅっ…」
「何だ?また泣いているのか、留三郎ぉ~!」
静かな図書室でそう口を開いたのは、一年い組、塩江文次郎である。半分馬鹿にしたような口ぶりで、本を読み目に涙を溜めている留三郎を見て口を両手で押さえ笑いを堪えていた。
留三郎は本を読みながら泣いていた。
いつも時間が出来るとこうやって図書室に本を読みに来るのだが、話に感動してよく一人で泣いている。泣いている姿はあまり見られたくないからと、図書室の隅にいるのだが、この日は目敏く文次郎がその姿を見つけたのだ。
「うるせぇ、こっち見んなっ!」
「ブフッ!」
だが、結局堪え切れず文次郎が吹き出した所で、図書委員によって二人は強制的に退出させられてしまった。
まずは文次郎、その次に留三郎を怪しげな笑みを浮かべ二人を引きずり図書室の外へと出し、
「図書室は私語厳禁…」
と、ボソリと囁きげんこつをお見舞いしたのは、一年ろ組の中在家長次だった。
普段は大人しい長次だが、何かあればこうやって怪しげな笑みを浮かべながら怒る。
長次は留三郎とも文次郎とも組は違う。
忍術学園の中でも一番人数の多い一年だと、同じ組の忍たま達と一緒にいる事が多く、他の組の事までは名前程度はわかるものの深く知る事はない。
委員会が同じであれば話は別だが、留三郎も文次郎も委員会は別なのにも関わらず、二人は長次が怒ると怖い事をよく知っている。
前に長次と同じ組の小平太がバレーボールで図書室の戸を破いた時、酷い目にあっているのを目の当たりにしたのだ。
それ以来、二人は何があっても長次に対しては我慢する事にしている。
「…………」
「…………」
図書室から追い出された二人はあっという間の出来事に、暫く図書室の戸を目をパチクリさせながら眺めていた。
だが、さっきピシャリと閉じられた戸が静かに開き、長次が留三郎の前に貸出しカードを突き付ける。
「本を借りるならこれ…」
留三郎は一度、長次の顔を見てから急いで差し出された貸出しカードに名前を書いた。
すると長次はそのまま何も言わずに、また図書室に戻って行く。
「お前のせいだぞ、文次郎っ!」
「煩いっ!お前があんなとこで泣いてるのが悪いっ!」
「何だとぉー!」
「やるかー!」
と、二人が互いの胸倉を掴み、図書室の外で喧嘩が始まろうとした時、スッと勢いよく図書室の戸が開く。
「………図書室の前でも静かに」
二人を注意したのは長次で、そう注意した後には、やはりあの笑顔だった。
その笑顔を向けられ、普段はまるで噛み合わない二人の呼吸が合い、
『は、はいっ!』
と、声を揃えて返事をした。
戸が閉まり長次の姿が見えなくなると、二人は逃げるようにその場から離れた。
「………また泣いてるのか、留三郎?」
伊作は衝立の向こうから聞こえて来る鼻を啜る音に気づき、そう声をかけた。
「……うるせぇ」
留三郎は机に向かったままそう素っ気なく答えた。
「ほんと、留三郎は昔から涙もろいよねぇ」
そう言って伊作は笑う。
留三郎は自分が辛い時、怪我での痛みで涙を流す事などない。
それは一年の時から六年になった今までだって、自分が辛い時に泣く事などなかった。
辛くてもそれに耐えるだけの強い精神力があるのだ。
でも、伊作は留三郎が泣く所をよく見かける。
一年の時はよく図書室で本を読んでいた留三郎だったのだが、何かがあったらしく気づいたら部屋で本を読むようになっていた。
「それで、今日は何に感動してるんだ?」
伊作はそう聞いてみる。
そう聞いて本の内容を教えて貰った事はないけれど。
「んー、教えねぇ」
そう言って留三郎は目に溜まった涙を拭い、伊作に眩しい笑顔を向けた。

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