蜜柑 けまい10 忍者ブログ

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けまい10

書きたかった内容と別物が出来上がりました。
どうして・・・?

きっと思いつきで書くからいけないんだろうなーとか思う。

原稿書く時でさえ、プロットとかないので。
とりあえず出来上がったので投下します~


では、お話はこちらから↓↓



ふと、伊作が夜中に目を覚ますとザーッという音が聞こえ、誰かが外で水をかぶっているような音が聞こえた。
六年の中で現在、忍務で学園に居ないのは留三郎一人。
「留三郎か?」
明かりを一つ点けて、静かに戸を開けて外を見ると、井戸で水を汲み頭から水を被る留三郎の後ろ姿が見え、ゆっくりと振り返る。
「伊作…」
振り返った留三郎は随分と汚れていて、一度、水で流したというのに、顔にこびりついた血は取れずに残っていた。
伊作は暗くてよく見えないからと、裸足で降りて留三郎の顔に触れる。
「これは返り血?」
「あぁ…」
「じゃあこれは?」
伊作はそのまま視線下に落とすと、脇腹辺りに大きなシミがあり、そっと触れると留三郎の顔が歪んだ。
「やっぱり怪我してるじゃないか。手当するから早くこっち」
手を引くと留三郎は何も言わずについて来る。
いつもなら『大丈夫』だと言うのに一言も喋らないし、握った手は少し震えていた。
だから何も言わずに強く手を握って、部屋に戻ってからも暫く手を握り続けていたが、留三郎の傷をそのままにしておく訳にはいかなかった。
「留三郎、傷の手当するから上着脱いでくれるか?」
ゆっくり手を離すと留三郎は上着を脱ぐのだが、俯いたままだった。
本当は何があったのか聞きたかったけれど、今は傷の手当が優先なのだ。
伊作は一度外に出て井戸で水を汲み、薬と包帯を用意した。
そして、水で濡らした布で脇腹の血を拭き取って薬を塗った。
「…いっ………てぇ…」
相当痛いのか留三郎は伊作の肩を強く掴んで歯を食いしばる。
「我慢しろ」
痛がる留三郎を無視して伊作は薬を塗ると、手早く包帯を巻いて、他にも傷がないかと伊作が近付くと強く抱きしめられた。
「とめっ…!?」
「死ぬかと思った…」
留三郎はしがみつくように強く伊作を抱きしめて離さない。
苦しいくらい強く抱きしめてきた。
「留三郎、もう大丈夫だから力を抜いてくれ」
こんなに力を入れていたら傷口が余計に開いてしまうのに、留三郎はそんな言葉など、全く耳に入っていないようだった。
だから伊作は少しでも落ち着くようにと、留三郎が強く抱きしめるのとは逆に、その背中を優しく撫でた。
もう六年も忍術学園にいるのだから、何度も危険な目にあってきた。
それなのにこの日帰ってきた留三郎は恐怖に支配されている。
「殺されるかと思った。俺、必死で……」
「うん」
「怖かった。死ぬと思ったら怖かったんだ…」
「うん」
伊作はただ留三郎の話を聞いていた。
忍術学園で六年過ごしてきた。この学園の中では一番年長で、経験もある。
だが、一歩学園の外に出てしまえば、まだまだ経験不足な忍たまなのだ。
殺す覚悟も死ぬ覚悟もしている筈なのに、こんな事で簡単に心が揺らいで、未だ恐怖は深く心の中に残ってしまう。
伊作は留三郎の背に回した腕に少しだけ力を込めて、
「忍務、お疲れ様」
と言えば、強く抱きしめていた力がスッと抜けた。
「留三郎?」
「……やっと終わった…」
留三郎は伊作に身体を預けて目を閉じた。
もうきっと疲れて動けないのだろう。
伊作は小さく息を吐いて、もうこうなってしまっては仕方ないと諦め、自分の掛け布団で互いの身体を包んで、一緒に横になった。
「おやすみ、留三郎」
伊作は留三郎の額に唇を落として、そのまま目を閉じた。

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