蜜柑
杉の運営する小説ブログサイトです。食伊とシンジャを愛する杉の妄想吐き出しの場。
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けまい1
話のタイトルを考える気がまるでない。
とてもわかりやすいけれど・・・。
お話はこちらから↓
(あぁ、またこの夢か…)
初めて戦に参加した時の事。
初めて人を殺した時の夢だ。
それが、その時の任務であり、試験だったのだ。
その日は綺麗な満月で、夜だというのに辺りは妙に明るく、見たくない光景を、まだ未熟な伊作にまじまじと見せた。
(嫌な夢だ。少し風に当たろう…)
そう思い、伊作は隣で眠る留三郎を起こさない様に部屋を出る。
今は冬。
それなのに何も羽織らないで部屋を出てしまった伊作は上着を忘れてしまった事を後悔するが、何度も部屋を出入りすれば留三郎が起きてしまうかもしれないと、自分の髪を首に巻き、身体を丸めた。
空を見上げると綺麗な月が明るく輝いている。
だから嫌でも思い出す。
目の前が真っ赤に染まった日の事を。
一人じゃなければこんな風には思わないのだろうけれど、今は見る事が出来なかった。
皆で月を見るの事は好きなのに。
だから、伊作は顔を伏せて身体を丸めた。
ただ、夜風の冷たさだけを感じながらそこにいると、部屋の戸が静かに開いた。
「こんなとこで何をしてる?」
部屋から出てきたのは勿論、留三郎だ。
「……ちょっと涼んでるんだ」
「だったら上着位羽織れ」
そう言って留三郎は少し乱暴に上着を伊作に被せた。
伊作は『ありがとう』と小さく礼を言い、上着を頭から被ったままだった。
その姿を暫く見てから、留三郎は戸を閉めて伊作の横に黙って座った。
「こんな所に居たら風邪引くぞ」
「そういう留三郎こそ、そんな格好じゃ風邪を引く」
そう言われて伊作は少しだけ顔を上げてると、留三郎は何も羽織らずにいたのだ。
だけど、留三郎は何も言わず、何も聞かずにそこにいる。
「留三郎…」
「何だ?」
伊作は伏せた顔を少しだけ横に向けて、留三郎を視界に入れる。
そして、その小指にちょんっと触れると、留三郎は小さく息を吐いて、伊作の手を強く握った。
留三郎の手は暖かい。
すっかり冷え切ってしまった伊作の手を温めた。
昔からこうやって何かあるとよく手を握りあった。
今みたいに片方の手が温かければ熱を分け合ったりもするし、両方が冷たい時は二人で温め合うのだ。
でも、こうしているとやっぱり……。
(落ち着く…)
伊作は握られた手を暫く眺めてから、少しだけ顔を上げた。
「留三郎、ありがとう…」
そう言って伊作は顔を上げると、
「綺麗な月だな」
そう言って留三郎の手を強く握り返した。
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