蜜柑
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シンドリアの休日(表紙ネタ)
八人将プチのペーパーラリーで配った表紙ネタです。
ただ、前にも言いましたがイラストと小説とで扇風機のボタンが違います。
気にせず読んでくださいな。
それではお話はこちらから↓↓
シンドリアの休日表紙(思いつきで夏っぽいものをってだけの)のネタです。本編とは関係ありません。
シンドリアは昭和の旧式、煌帝国は進んでそうだから最新の羽ない扇風機使ってると思います。
白羊塔、執務室。
ジャーファルはいつもここで仕事をしている。
朝、執務室に入ると一番大きな机の周りに人だかりが出き、ざわざわと騒がしい。
「どうしたんですか?仕事は山程あるというのに。仕事をしなさい、仕事をっ!」
ジャーファルがそう注意をすると、一人の官が前に出た。
「ですがジャーファル様、このような物を見せらてしまうと気になってしまって…」
「こんな物?」
ジャーファルは人だかりをかき分け、皆が気になっているという物を見た。
見るとそれはジャーファルも見た事のない物だった。
青い羽のような物が五枚。それを覆う輪っか。だが、完全に覆われている訳ではなく、ちょうど人の指が入らない程度の間隔に固い金属が張り巡らされ、羽には触れる事が出来なかった。
そして、その丸い部分を支える棒状の部分は真っ直ぐ伸び、それを支える土台には青色の四角い突起物が並んでいる。
更に土台からは尻尾のような物が伸びていた。
「何ですか、この怪しい物はっ!?」
ジャーファルが聞いても、皆は首を横に振る。
「今日、煌帝国からの輸入品の中にあったのですが、使い勝手がわからず…」
煌帝国はシンドリアと違い国土も大きい。至る所で戦争を起こし、それに勝利する事で国土を広げ、色んな文化が国中に溢れている。
だから、貿易で物を輸入する事に頼るシンドリアよりも、ずっと進んだ国なのだ。
その煌帝国が怪しげな物を輸入品として送ってきた。
だが、こんな得体の知れない物をそのままにはしておける筈もなく…。
ジャーファルは誰も触れようとしないそれを持ち上げ、ひっくり返し、更には土台に付いている怪しげな突起物に触れてみる。
がちゃん
「っ!?」
少し力を入れて押すと突起物が音をたてて凹んだ。
今までジャーファルの周りに集まっていた官達は、その音を聞いて一斉に散った。
でも何も起こらない。ジャーファルは首を捻り、グルグルと回しているとひらりと一枚の紙が落ちた。
見るとそれには『扇風機』と書かれていて、説明には自動で風を起こすとあった。
「仕方ありませんね。私がこれを調べます。幸いにも名称も判明したので、時間はかからないでしょう。なのでその間、仕事の方はお願いします」
ジャーファルは煌帝国からの輸入品『扇風機』を持ち、白羊塔の書庫に消えた。
書庫に来たのはいいけれど、ジャーファルは途方に暮れていた。何故なら書庫にある物は全て読み尽くし、内容もほぼ把握しているからだ。
ジャーファルの知識の中に『扇風機』が存在していなければ、この書庫にもそれはない。
それなのに何故ここに来たかと言うと、書庫がジャーファルにとって一番落ち着ける場所だったからだ。自室に持ち帰るという事も考えたが、紫獅塔に持ち帰るにはやはり不安があった。ジャーファルは書庫の一番奥の定位置に座り、扇風機を眺めた。
(確か自動で風を起こすとあったな…)
扇風機に付いていた紙を読みながら頭を抱え、それから腕を組み唸り始める。
何をどうしたら風が起こるのか、全く見当がつかないのだ。 この土台の突起物が何か意味のあるものなのか。
だが、さっき凹んだ場所は引っ張り出そうとしても動かない。 でもきっと何か意味があるのだ。でなければここに有る意味がない。 ジャーファルは凹んでいる元突起物の右隣を、意を決して押した。
がちゃん
押した瞬間にさっと身を屈めるが、何も起こらなかった。
「………?」
だが、変わった所は一つ。さっきまで凹んでいた所が出っ張り、その代わりに押した場所が凹んだのだ。
そして、まだ押していない突起物は二つ。ジャーファルは覚悟を決め、残りの突起物を続けて押した。
がちゃん がちゃん
するとやはり何も起こらない。 突起物は最後の一つを押したら、全てが元に戻った。
これでわかった事は一番右の突起物を押すと、全てが元通りになるという事だ。
ジャーファルは何度も押したが、結果は変わらない。 自動で風を起こすとあったが何も起こらなかった。
でもこの突起物には絶対き意味があるのだと信じ、とりあえず左端から二番目の突起物を押したまま、扇風機を調べてみる事にした。扇風機を上から下まで、更にひっくり返して見る。
そして、やはり気になるのは尻尾のような紐だ。先端は二股になっている。
(何だ、これは…?)
やはり見当がつかなかった。押しても何もならない金属だ。
でも、ジャーファルはその金属に目を付けた。自分の持つ眷属器もそうだが、魔力を込めなければただの刃。だが、それに魔力を込めれば威力は激増するのだ。
もしかしたら、この先端の金属は金属器や眷属器と同じような物なのではないか?
ジャーファルは二股に別れた金属を握り締め、魔力を込めた。
すると、今まで動かなかった扇風機はブァァァァっと風を送り出してきたのだ。羽が回転を始め、それが風を起こしている。
「凄い…」
そう呟き、ジャーファルは顔で風を受け、試しに今凹んでいる場所の右隣を押した。 すると、さっきよりも強い風が吹き付けてくる。クーフィーヤが激しく靡き、終いにはそれを吹き飛ばす程の威力だ。最後に一番右端の突起物を押せば風が止まり、これはジャーファルの予想通りだった。
(これは風の威力を調節するものだったのか。しかし…)
ジャーファルは金属を離し、魔力の供給を止めて横になった。
せっかく仮眠を取ったのに、扇風機への魔力供給で体力をかなり消耗してしまったのだ。
(疲れる…。これは常人では魔力が続かない。でもシンなら…?)
そんな事を考えていると、ゴーンと休憩を告げる大鐘が鳴った。これで扇風機と二時間格闘していた事になる。 フッと小さく息を吐いたジャーファルは首をコキッと鳴らし、大きく伸びをしてそのまま倒れると、見慣れた人影が見えた。
「……シン、仕事はどうしたんです?」
「今は休憩時間だろ?それより煌帝国から面白い物が入ったと聞いて来たんだが。それで、わかったのか?」
シンドバッドはジャーファルの横に座り、珍しそうに眺めていた。それを見て、世界を旅して回ったシンドバッドでも知らないのだとわかる。
「わかりましたよ。でも魔力を使わなければならないので、常人には使えません。シン、これを…」
ジャーファルはそう説明をし、シンドバッドに二股の金属を握らせた。
「これに魔力を込めてみてください」
ジャーファルはとても嬉しそうな顔で、突起物を押した。それも魔力を一番消費する、風量の一番強いものをだ。
何も知らないシンドバッドが魔力を込めると、羽が勢いよく回り始めた。
ジャーファルは気持ちよさそうに目を閉じ、暫く風を浴びていたのだが、満足した所で目を開く。
そして、
「あ~~~~~~」
ジャーファルが扇風機に向かい声を出す。
すると扇風機からの強い風を受けて声が震えた。普通の強風の中でこんな風に声を出しても震えないのだが、扇風機の風は何かが違うようだ。
それを気に入ったのかジャーファルは『あ゛~~~~~』と一人で言い続けていた。
(疲れているんだな…)
シンドバッドはそう思い、ジャーファルの頭を優しく撫でるのだった。
そして、この扇風機はジャーファルのお気に入りとして、休日には必ず持ち出されるようになった。

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