蜜柑 シンジャ3 忍者ブログ

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シンジャ3

シン様の事が好きだけど素直になれないジャーファル君。

シンは王様だもん・・・と一線引いてます。でも、シン様には気持ちバレてるけど、認めないジャーファル君の話。


私、シン様好きなんだけど、ジャーファル君の話ばかりだねwww


お話はこちらから↓↓



日付が変わる頃、シンドバッドとシャルルカンは王宮の入り口に立っていた。
といっても、シャルルカンがシンドバッドに肩を貸し、半分引きずっている状態だ。
「王サマ、着きましたよ」
シャルルカンに声を掛けられて、シンドバッドは目を開けた。
「何だ、王宮じゃないか…さっきまでここにいた女達は?」
「はぁ…。酒飲んでて途中で寝たのは誰ですか?」
シャルルカンは深い溜め息をつき、呆れたように言った。
「……俺か?」
「この状況で他に誰かいます?」
「……いないな」
シンドバッドは笑いながら、未だにシャルルカンに身体を預けて引きずられている。『重い』と言いながらも、彼は紫獅塔のシンドバッドの部屋を目指していた。
「でも、あの程度で酔いつぶれるなんて。王サマ、もう年ですかね?」
力なく頭を垂れ下げているシンドバッドにシャルルカンがニヤニヤと笑いながら声をかけた。
「俺はまだそんな年じゃないぞ」
強がって垂れた頭を持ち上げるものの、やはりまだ身体がいう事をきかない。またすぐに垂れ下がってしまった。
 
 
(しかし、少し飲みすぎたか…)
 
 
この日は仕事も早く終わり、シンドバッドは定時の時間になるとシャルルカンと共に王宮を出た。
たまには気晴らしに王宮の外で飲もうという話になって、彼と共に市街地に出たのだ。
そんな事がジャーファルに知れれば煩く文句を言われるだろうからと、今回はシャルルカンと二人だけの秘密にした。
多少酒臭くても市街地に行った事はバレやしない…………と思ったのだが…。
「シン、シャルルカン、お帰りなさい」
紫獅塔入り口で待ちかまえていたのは、怒りに震えたジャーファルだった。
怒っているのがわかるのに、笑顔なのがまた怖い。
シャルルカンはジャーファルの顔を見るなり、『ヤバい』と思ったのを表情に出した。
へへっと一度笑って、
「じゃあ、俺はこれで。後は頼みますよ、ジャーファルさん!」
シャルルカンはシンドバッドをジャーファルに預け、その場から逃げるようにして去っていく。
「ちょ、ちょっとっ!」
ジャーファルは押し付けられたシンドバッドの身体を支え、覆い被さるその間からシャルルカンに手を伸ばした時には既に遅かった。
「くっ…」
捕まえようにもシャルルカンの逃げ足は早く、ずしりと身体を預けるシンドバッドを抱えては追いかける事は出来なかった。
だが、あと数時間もすれば仕事が始まる。
 
 
(あとで覚えてろ…)
 
 
言いたかった文句は後で言うとして、今はこの状況をどうにかしなければならなかった。
 
 
(それにしても酒臭い…)
 
 
ジャーファルからは溜め息が漏れる。
二人が王宮外に出た事はたまたま見かけて知っていた。
王宮を出て酒臭いという事は十中八九、市街地で飲んできたのだろう。
「シン、シン、起きてください」
名を呼び、背中を軽く叩いてみる。
「………」
シンドバッドは全く反応をしなかった。完全に酔いつぶれ、爆睡しているのだ。
ジャーファルからはまたさっきより更に深い溜め息が漏れ、それでも放っておく事は出来ないから背中に担ぎ、引きずりながらシンドバッドの寝室へと向かった。
こんな事は今に始まった訳ではない。自国だけでなく旅先でも、シンドバッドの酒癖の悪さに振り回され、介抱するのはいつもジャーファルの仕事だった。ジャーファルよりも身体の大きいシンドバッドを、身長差のせいで引きずってはいるけれど運ぶのには慣れていた。
カツカツと早足で歩き、ジャーファルはシンドバッドの寝室の扉を開けた。
そして、ベッドに降ろそうとした時、今まで力の抜けていたシンドバッドの身体に急に力が入った。ジャーファルはそのままベッドに倒れ込み、その上にシンドバッドが覆い被さってくる。
「ただいま」
シンドバッドの甘い声が耳元で囁かれる。
「起きてたんですかっ!?」
「起きてた」
「起きてるなら自分で歩けっ!」
ジャーファルは身動きがあまり取れない中で、唯一動かせた左手でシンドバッドの身体を押し返す。
「そう言うから寝たふりをしたんだよ。こうしてると落ち着くんだ。紙とインクの臭いがする」
政務官として働き、仕事好きのジャーファルからはいつもこの匂いがするのだ。
それをすんっとシンドバッドが吸い込んだ。
その仕草に一瞬、ジャーファルの力が緩む。
けれど、シンドバッドからする臭いに、ジャーファルは眉間にシワを寄せ、また苛立ち強く身体を押し返した。
「シンはお酒臭いですよ。それと女の臭いがします…」
シンドバッドからは酒と、彼の物ではない香が染み着いている。
「嫌か?」
「少しはご自分の立場をお考え下さい。市街地で間違いがあったらどうす…」
「違うよ、ジャーファル」
シンドバッドはジャーファルの言葉を遮るように言葉を挟んだ。
「俺は『嫌か』と聞いてるんだ」
「……っ!」
背中越しでも、シンドバッドが自分に視線を向けているのがわかる。
そして、名前を呼ぶのだ。
彼が答えを求めている。
臣下としての答えではなく、ジャーファル自身の答えを。
だが、臣下が王に個人的な意見など、言っていい筈がない。ジャーファルはそう考えている。昔から知る仲ではあるけれど、自分の思いを王に押しつけてはならないのだ。
 
 
だから…
 
 
「国事に影響が無ければ構いません」
そう伝えた。
そして、シンドバッドを押し返す事も止め、彼の匂いのするベッドに顔を埋める。
ベッドに顔を埋めたのは、この複雑な気持ちが現れているだろう顔を絶対に見られたくなかったのだ。
そうしてるとシンドバッドがジャーファルの頭を撫でてきて…。
 
 
「お前は本当に嘘をつくのが下手だ」
 
 
そう言って笑うものだから。
「……そんな事ない」
ジャーファルはシンドバッドの下で今出来る精一杯の反抗を見せた。

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